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金融検査マニュアル

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金融検査マニュアルとは、金融庁が金融機関の検査を行う際に使用する手引書のことです。このマニュアルは、金融機関の健全性や適切性を確保するために、資産査定、引当金の計上方法、法令遵守などを細かく規定しています。

これはバブル経済崩壊後、各金融機関の資産査定が甘く、一向に不良債権問題が解決せず公的資金も何十兆円も投入することになったため、査定基準を明確化するために導入されました。(現在は廃止しています

詳細:

  • 目的:金融検査マニュアルは、金融機関の経営状態を検査し、問題点を指摘して業務改善を促すことを目的としています。
  • 導入経緯:バブル崩壊後の不良債権問題に対応するため、1999年に導入されました。
  • 内容:資産査定、引当金の計上方法、法令遵守など、金融機関の業務全般にわたる基準が記載されています。
  • 廃止:金融庁は、2019年12月18日に金融検査マニュアルを廃止しました。
  • 廃止理由:金融機関がマニュアルに依存し、柔軟な対応が難しくなっていたこと、また、金融機関が抱えるリスクが多様化していることなどが理由として挙げられています。
  • 廃止後の対応:廃止後は、金融機関の個性や特性を踏まえた上で、将来を見据えた信用リスクも勘案して検査・監督を行う方針が示されています。

金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編):

  • 中小企業向けの融資に特化した内容で、財務状況だけでなく、技術力や成長性なども総合的に勘案して債務者区分を判断するよう明記されています。
  • 自己査定の基準や、中小企業への融資における留意点などが記載されています。
  • 2019年12月18日に金融検査マニュアルが廃止された後も、中小企業への融資に関する検査・監督の考え方と進め方として、引き続き参照されています。

金融検査マニュアル(中小企業編)より<抜粋>

事例1 提出された資料での判断では、連続期間損失かつ債務超過である場合

    要注意先以下(三期連続はほぼ破綻懸念先)の判断になるが既存の借入に延滞なく、代表者からの借入金を資産計上 することは可能(真の資金使途の確認と今後返済を求めないことが条件)

事例2 期間損失の状況であるが、実態として過大な役員報酬や家族関係者に対する給与その他、役員名義への賃料により結果として決算に大きな影響を与えている場合は、役員報酬等を適正額に洗替試算して区分を検討、借入金の返済が実質、役員個人から行われている場合もあるので個人の借入や他の個人資産(不動産収入など)を確認の上、確定申告書も徴求。問題なければ正常先

 

事例3 決算資料では要注意先以下に判断される場合でも、代表者の個人資産が会社の負債を大きく上回る場合も正常先と判断可能。個人の他金融機関からの借入金のなどの把握、別法人を経営しているか?などの情報収集を行う

事例4 債務者単体での返済には懸念あるも、代表者親族からの支援が明白である場合

    親族が安定収入であるか?勤務先、源泉徴収、場合によっては確定申告書により確認、住宅ローン(返済額)の確認、他連帯保証人になっていないか?

事例5 連続期間損失&債務超過であっても、技術力で「要注意先」へ

    「営業権」「特許権」「実用新案権」「意匠権」「著作権」など

    今後の収益が大幅に期待できること

事例6 上記5のように国が定めた特許等の権利がなくても高い技術力により大手企業からの引き合いや共同事業など具体化した状況であり、今後の収益増が期待できる場合「要注意先」可能

事例7 業績低迷により大幅なコストカットを実施しているが、借入金の返済が悪化している場合であっても販売力が他の企業に比べ、優位であればそれも経営内容の評価としても可

事例8 業績低迷で表面上、破綻懸念先であっても、技術力、製品開発力に優れ、販路拡充や仕入先開拓により改善が見込まれる場合「要注意先」へ

事例9 代表者の健康状況により業績が低迷して表面上「破綻懸念先」であっても健康回復し、後継者の育成が見込まれていれば「要注意先」へ

事例10 ホテル、旅館など大きな設備が必要で多額な減価償却により赤字に陥っている場合は償却前利益などにより、返済に問題がなければ「正常先」へ

事例11 4期連続赤字かつ債務超過、返済条件緩和先であっても、策定された改善計画に基づき1年目で8割程度達成し、2年目以降は約定返済も見込まれる場合「要注意先」へ

事例12 事業計画に基づき、今後3年元本返済猶予を行えば収支改善可能であり、その履行状況が予定通り推移していれば引き続き「要注意先」へ

事例13 提出された改善計画の7割程度の達成状況であるが、今後の収支を再検討し、来期以降は増収増益が見込まれ、約定返済開始の見込みも立った場合「要注意先」へ

事例19 3期連続赤字、債務超過先。で現状、要注意先

     短期資金(手貸し)の書き換え継続するも、当庫基準金利債権であれば

     「貸出条件緩和債権=原本返済猶予」とはせず分類Ⅱを適用できる

事例20 業績低迷かつ実質債務超過先で条件変更行うも、最終期限が法定耐用年数以内であれば条件緩和先債権とはしない

事例22 業績低迷で返済能力低下先であっても担保余力、代表者個人の返済能力があれば

    貸出条件緩和債権=元本猶予債権にはしない

はみだし銀行員の私は上記を逆手に取り新規取引先を開拓、既存取引先の継続支援を行なっていました。

新規貸出は原則、正常先のみになります。既存先で表面上厳しい債務者区分に該当しそうな場合の逃げ道(ランクアップ)上記項目を頭に入れて活動していました。

金融検査マニュアルは既に廃止されていますが、「自己査定」を行う上で、一つの道標になっていることは現在も変わりはありません。 経営は良い時ばかりではありません。企業側も上記を把握した銀行対策を考えたいものです。

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