創業計画書の人物要素って何を書けばいいの?
「創業計画書の人物要素って何を書けばいいの?」「結局は数字が全てでは?」――これは私が20年以上、銀行員として創業融資に携わる中で最も多く受けた質問のひとつです。実際、東京港区の支店で出会った40代の男性も「売上予測ばかりに力を入れてしまい、自己紹介は簡単に済ませた」と不安げに語っていました。しかし、公庫や保証協会の審査官が最初にチェックするのは、意外にも「人物要素」。つまり、あなた自身の経験や動機、信頼性なのです。本記事では、その実態と具体的な書き方を徹底的に解説します。
本題
第1章:驚愕の事実 ― 数字より先に見られる「人物」欄
実体験
2015年、飲食業での創業計画書を見た保証協会担当者が最初に開いたのは「経歴・動機」のページでした。本人は「なぜ売上予測ではなく人物欄から?」と驚きましたが、融資審査担当の答えは明快。「人となりを把握しなければ数字の信憑性も判断できないから」。
👉 つまり「人物欄=審査の入り口」です。
第2章:公庫公式が示す「人物要素」の重視
日本政策金融公庫の創業計画書フォーマットを見ると、冒頭に「経歴」「創業動機」「自己資金」などの項目が並んでいます。
この配置の意味
- 経験=再現性の証拠
- 動機=継続力の裏付け
- 自己資金=覚悟の数値化
👉 これらを適切に記載することで「この人なら任せられる」と判断されやすくなります。
第3章:創業動機に魂を込める
失敗談
ある小売業の計画書で「独立したいから」とだけ書かれていたケース。公庫担当から「動機が弱い」と即却下。
成功例
別の案件では「父が30年間経営してきた店舗を継ぎ、地域の顧客に応えたい」と具体的なエピソードを記載。審査官の評価は一気に高まりました。
👉 感情+具体体験を織り込むことが重要です。
第4章:経歴の見せ方で信頼が変わる
実務の事例
飲食店希望者が「調理師専門学校卒業、居酒屋で10年勤務」と書いただけの計画書は「普通」と判断されました。
一方、「調理師学校卒→都内居酒屋で10年勤務→年間1,000万円売上の店舗を任される」と具体実績を書いた計画書は「即承認」。
👉 経歴は「数字や事例」を添えると一気に信頼が増します。
第5章:自己資金=人物要素の核心
自己資金は単なる金額ではなく「覚悟の証拠」です。
具体データ(信用金庫での経験値)
- 自己資金ゼロ → 承認率10%未満
- 自己資金10% → 承認率40%
- 自己資金20%以上 → 承認率70%超
👉 「数字」そのものが人柄の裏付けになります。
第6章:反論と再解釈 ― 「お金よりアイデアで勝負」は通用するか?
一部の起業家は「自己資金はなくてもアイデアで勝負できる」と主張します。しかし審査官は「リスクを取る覚悟」を数字で見ます。
👉 結論:アイデアだけでは融資は通りません。
第7章:人物要素の落とし穴 ― 嘘と誇張
実体験
2017年、サービス業の計画書で「大手企業に勤務していた」と記載。しかし確認すると数ヶ月の短期契約。結果は信用失墜。不承認。
👉 嘘や誇張は一瞬で見抜かれます。正直に書くことが鉄則です。
第8章:審査官が評価する「継続力の証拠」
- 過去に同業での勤務年数
- 資格取得(調理師免許、宅建士など)
- 副業での実績
👉 「これまで積み上げた努力」を書くと人物欄が強化されます。
第9章:テンプレートで書く人物欄
- 創業動機:「なぜ今やるのか」+エピソード
- 経歴:「業務内容」+「数字での成果」
- 自己資金:「金額」+「積立方法(コツコツ感)」
- 資格・スキル:「実務経験を支える裏付け」
👉 この流れで書けば、誰でも強い人物欄を作れます。
第10章:人物要素が輝いた成功事例
2019年に担当した学習塾の案件。経歴は「教師歴15年、指導した生徒の合格率90%」。動機は「地域の教育格差をなくしたい」。自己資金200万円を積立。結果、希望額満額が承認されました。
👉 「人物要素=信頼の最大要素」であることが証明されました。
結論
公庫や保証協会が創業計画書で最も重視するのは「人物要素」です。動機・経歴・自己資金・資格――これらが数字に勝る判断材料となります。なぜなら、事業を動かすのは資金ではなく「人」だからです。
私は20年以上の現場経験で「人物欄に魂を込めた計画書ほど通りやすく、その後の経営も安定する」姿を数多く見てきました。あなたも今日から、自分の歩みや想いを整理し、エピソードと数字で伝えてください。その積み重ねが、金融機関からの信頼を勝ち取る最短ルートになるのです。


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